以前、共同管理していたブログに宿泊記事を投稿していたが、事情により活動休止となったため、こちらで続けることにした。
ただ、内容は多少変えるので、純粋な継続というわけではない。悪しからず。撮影した画像の雰囲気を活かしながら、文章量も抑えつつ、淡々とした読み物としてまとめていきたいと思う。

ということで、盛岡市内にある「熊ヶ井旅館」に泊まったことを今回は書いていきたい。場所は盛岡駅東口から徒歩10分ほどのところ。当日は三月の末だというのに寒く、白い息を吐きながら歩いていくと、住宅街の一角に溶け込んで建っていた。



玄関を一歩入ると、たくさんの調度品や民芸品で彩られている。それらをひとつずつ眺めていくのも楽しそうだが、とりあえずは今夜の部屋を目指そうか。開業は1966年だそうだが、2023年にリノベーションが完了したとのこと。所々で年季のある部分を残しつつも、清潔で落ち着いた雰囲気の漂う館内だ。


通された部屋。畳が新しく、清々しい。全体的に清潔で洗練された印象だが、割と家庭的な布団が敷いてあるのが、ほっとする。窓を開けると、ごくごく住宅地らしい風景が眺められる。これで食事無しシャワートイレ付き一泊7,700円とは、宿泊料金が高騰化している現状ではかなりありがたい設定だ。

部屋の雰囲気によっては、日常性との乖離から舞い上がって落ち着かなくなることもあるが、この部屋ではそんなこともなく、すんなりと馴染んだ。自宅とそう変わらずだらりだらりと過ごしながら、シャワーを浴びたり、館内を散歩したりなどした。

18時。旅館と併設されている居酒屋、「熊ヶ井旅館食堂」へと赴く。食事付きのプランはないが、宿泊客は優先的にここのカウンター席を用意してもらえる。こだわりがなければ、厚意にあずかってここで食べるのがすんなりとしている。

店内もまた至るところに調度品の類が飾られている。お客さんが意外と居られて、あまり室内の写真を撮れなかったが、落ち着いたスナックバーというような雰囲気。振られたら一曲なにか歌うべきかとちょっと考えたが、残念ながらそんなことはなかった。店員さんからは初鰹のたたきを勧められた。魚介類を中心としているようだが、別に偏っているわけでもなく、メニュー表には肉料理やパスタもある。

とりあえずは岩手の地酒「あさ開」の純米酒だったかに、つまみ4点セットかなにかを頼んだところ、つまみというよりはしっかりとした小料理が出されて驚く。菜の花とサザエの辛子味噌和え、豚の角煮、茶碗蒸し、サザエの壷焼き。品並びも粋だ。

海産物に春を感じる。サザエの旬は春だ。


しばらく直感と本能で飲み食いしていると、いける客と見られたか、店員さんがワインのリストを持ってこられたので、素直におすすめを頂く。シャトー・クロワ・ムートンの赤。それにチーズ盛り合わせを持ってきてもらう。至福。



しかし、ここに宿泊しているとはいえ、個人であんまり居座るのもどうかと思ったため、切り上げるサインとしてコーヒーと自家製プリンをいただく。コーヒーは目の前でサイフォンから淹れてくれる。目が至福だ。いろいろ食べて飲んで、それでも7千円ぐらいで収まっただろうか。ほとんど酒代だ。宿泊料が安いから躊躇する気があまりしない。

満足し、部屋に戻ってテレビをつけると、どのチャンネルもやたらと騒がしい。消すと沁みるような静けさが降りた。しばらく読書をして、あまり遅くならないうちに布団に入ると、すんなり眠れた。
