コンチネンタル彼岸

意識の別荘

果物切るのめんどくさい人生。

 

イカ、メロン、パイナップルなど、ちょっとでかい果物を切って食べるまでがどうにも億劫だ。このまえ地元の特産の桃を北海道の親戚に送ったら、そのお返しにメロンが届いたが、じや、さっそく食べようか、とはならない。切るのが億劫なのでとりあえず冷蔵庫に放り込んでおき、包丁を入れる気持ちのノリが湧くまで放置することになる。


そんなこんなで、だんだん果物も熟成されて食べごろに達するものの、一向に包丁を持つ気持ちが湧くことがなく、なんか色が変わってきたとか、変な汁が出てきたとか、だいたいそういう事態になってから包丁を握ることになる。結果、完全に手遅れだったこともあれば、かえって最高の状態で食べることもできたりするが、結局は毎度毎度、無用なギャンブルをしているわけだ。なぜ果物を切るごときがこれほど億劫なのか。自分で自分がよくわからない。


逆に、食べるまでに億劫じゃない果物というとやはりバナナが最高で、我が家では常にバナナは欠かせない。あと、リンゴとか梨があればそのまま齧り付く。果物に関して、価格や物珍しさは、私の中で消費の優先順位に影響しない。食べるのにストレスを感じないバナナが先に消費されていき、切る手間のかかる高級メロンは冷蔵庫で静かに腐っていく。


そういう滑稽な状況を私は残念に感じているし、なんとかしたいと思う一方で、果物に対する高級志向への疑念も浮かぶ。メロンごときが偉そうにするな。所詮、ただの瓜やないかとも思う。が、その瓜を高級メロンにまで育てあげた人の歴史や努力といったものがすぐ頭によぎり、やっぱり私がバカでしたとすぐに反省したくなる。ちなみに北海道から届いたメロンは、やっとこさ切って食べることができた。美味かったし、腐らせなくて本当に安心した。だいたいそんな人生です。