コンチネンタル彼岸

意識の別荘

リアルゴールド沈思①

 

リアルゴールドな宿命の下に生まれたらしい。自販機でリアルゴールドを見かけると、なんの躊躇もなく買ってしまう。仮に、世の中の自販機すべてにリアルゴールドが並んでいたら、私は約30メートルごとにリアルゴールドを購入、浪費して身を滅ぼし、自販機のない山中で仙人のように暮らすほかなかったかもしれない。

 

・ふと、この奇妙な縁とじっくり向き合いたくなった。そうすることで、私の内に潜む何者かが目覚め、そいつが私の口を借りて、この宿命を解く答えを滔々と語り出すかもしれぬ。そう考えると何故だか心が躍った。そうしてある春の日の肌寒い午後。閑散とした公園の隅にある自販機でリアルゴールドを購入。ひとり味わった。


・そう。これだこれ。舌に馴染むこのオロナミンC味。おい、なんでここでオロナミンCがしゃしゃり出てくる。リアルゴールドリアルゴールド味。ドデカミンドデカミン味であるように、唯一無二の味だ。適当なこと言うな。

 

・もう一口飲む。この、自然の要素のかけらも感じない機械工学的な甘みと、金属と金属がぶつかり合って散った火花の名残のような炭酸。そして、意外と繊細な、煙突からたなびく細い煙を連想させる、尾を引くような後味。遠くで遊ぶ子供が、うんこー、このへん、めっちゃうんこいっぱいあると叫んでいる。


・恬然と飲み終えたが、自分の内に潜むものの声を聞くこともなく、しかも途中、よりによってオロナミンCを連想してしまったのは、精神の移り気な未熟さを象徴しているのだろう。是非また機会を作り、真剣にリアルゴールドと向き合いたい。リアルゴールドを通じて深い言葉と通じ、私は私なりの真理を見出したい。つづく。