コンチネンタル彼岸

意識の別荘

クロアチア料理を作る奇癖。

 

・たまに自分でもよくわからない衝動に見舞われて、取り憑かれたように料理を作ることがある。特に本とかクックパッドで美味そうなレシピを見たからとかじゃなく、迷うことなく手が動いて、気づいたら料理になってるみたいな。

 

・ただ、そうやって完成した料理は一体どこの国の料理かもさっぱりわからない代物だ。味はともかく、なんかそういう訳のわからないものを作り出してしまうことにホラー要素を感じつつある。自分が怖い。

 

・この突発的な料理欲は、もしかしたら一種のストレス解消法なのかもしれない。工程も雑で単純。基本、野菜をザクザク切って耐熱皿に並べて、テキトーに調味料やオリーブオイルを振ったらオーブンに放り込んで焼くだけ。漬けたり煮込んだり揚げたり、そんな手間のかかる事は一切しない。結果、文化背景の省かれた、何料理ともいえない不思議なものが出来上がる。

 

・そのパターンというか最低限の特徴としては、まず野菜を並べて焼く際に、上にベーコンかハムもしくはコンビーフなんかを散らす。加えてローズマリーとかオレガノとかクミンシードとか、ハーブぽいのがあればとりあえず添えて、全てを一緒に焼く。

 

・すると野菜はともかくとして、上のハーブとかベーコンがこんがりと完全に焦げてたりするが、それを見るとむしろ愉快な気持ちになる。それから無駄にでかい皿を用意して、そこにテキトーに盛り付ける。見栄えは考えないというか、そもそもそういう料理を作ってるときは思考を乗っ取られているようなものなのでよくわからない。なんか情熱的な勢いだけがある。


・最後にパルメザンチーズやらブラックペッパーやらを偏執的に振り掛けたら無国籍風の料理が完成する。下の画像もそんな感じで作った。名前をつけるとすれば、『キャベツのぶつ切り焼き。コンビーフとパルメザンチーズにまみれて死ね』あたりだろう。家族に「これは何料理に見えるだろう」と聞いたら、「これはクロアチア料理ではないか」という。いつか私の中に住むクロアチア人となんらかの形で決着をつけたい。